お家を建ててはいけない土地?調整区域とは

こんばんは!

16時間ダイエット中でナッツしか食べられない前田幸治です!

マイホームのために売土地を探していると「この辺りって田んぼがたくさんあるのに一つくらい売土地はないの!?」と思うことはありませんか??

おそらくその辺り一体は“市街化調整区域”と呼ばれる場所で、超・ざっくり言うと“建物を建ててはいけない場所”なのです。

周辺相場に比べてやけに安い土地物件を見たことはないでしょうか。物件案内書をよくみると「市街化調整区域」との記載があるかもしれません。

え!建物を建ててはいけない場所なんてあるの?!

あるんです。一体どういうことなのでしょうか。

市街化調整区域とは??

建物を建ててはいけないとは言いましたが正確に言うと”建物の建築に大きな制限がかかる“といった具合です。

市街化調整区域とは都市計画法という法律によって定められた場所のことで、簡単に言えば行政が定めた「発展させたくない場所、発展を抑制したい場所」なのです。

だから建物もあんまり建ててほしくないので、原則として新たな住宅を建てることが出来ません。

でも、行政が都市を発展させたくないってどういうことなの??と思いますよね。

都市計画法とは一体どんな法律なのでしょうか。

実は発展させたくないわけではなく、都市を効率的に発展させるための法律なのです。

都市を計画する都市計画法

「都市」というのはどんなふうに作られていくのでしょうか。

たくさんの人々が社会生活を送る「都市」を作るためには実にさまざまな施設が必要です。

まず道路が絶対に必要ですよね。次に水道や電気などのライフライン。

それから、人が多くなってきたら警察署や病院などもないと困りますし、学校や消防署なども必要になります。

さらには電車を走らせる鉄道、駅、市役所、電波塔などの通信施設、などなど。

これらは公共の施設ばかりですので、街づくりというのは行政が主体となって行うものと言えます。

行政はこれらの施設を、限られた予算の中で的確に効果的に配置していかなくてはいけません。

もしそのときお家や会社や工場や農地が、ぜ〜んぶごちゃまぜでバラバラの場所にあったらどうでしょうか?

無秩序に街が発展していると、道路やライフラインも全てバラバラの場所に伸ばさなくてはならず、どこに大きな幹線道路を敷いていいのやらわかりません。また病院・学校・消防署・警察署などの施設もそれぞれが膨大な範囲をカバーしなくてはいけなくなってしまい大変非効率です。

これでは、せっかくみんなから集めた税金を効率的に運用できなくなってしまいますね。

そこで!行政は街づくりを計画的に進めるため、あらかじめ自分たちが管理する市町村を、①集中的に発展(市街化)させていくエリアと、②農業などを行うためのそれ以外のエリアに線引きして分けておくのです!それが都市計画法における①市街化区域と②市街化調整区域なのです!

市街化しない場所だから“市街化調整区域”

都市計画法の趣旨はこの辺にして話は冒頭に戻り、「市街化させない地域」である市街化調整区域についてもう少し説明します。

市街化調整区域は、先にも書いた通りで、無秩序な市街化を防ぐための地域で、主として農業などに使われます。

市街化区域と比べると建物の建築には大きく制限がかかり、道路やライフラインの整備や保守が遅れがちだったりします。または市街化区域なら行政が負担してくれる工事も実費でやらなくてはいけなかったりするというデメリットがあります。

そして中でもマイホームを検討する上で外せないポイントは、基本的には住宅を建てることができないという点です。ギェピー!

市街化調整区域の制限

先にも書いた通り、市街化調整区域は住宅を建てるにはハードルが高い地域です。と言うのも、市街化調整区域は市街化区域と違って積極的に人口を増やしたくはない地域なので、新たに住宅を建築することは基本的に認められないからです。

(もっとも、田畑を住宅にする場合には市街化区域でもどちらにせよ農地転用の手続きはクリアしなくてはいけませんが)

ただし、絶対建てられないというわけでもないのです。例えば今あるお家の建替えは可能です。

これは考えて見れば当然のことです。都市計画法という法律は比較的最近施行されたものです。それまでずっと地域に住んでいた人にとってはある日突然に「今日からあなたの住んでいる町は市街化調整区域です!」と言われ寝耳に水もいいところです。それで「もう家を建て替えちゃダメですよ」なんてことになったらたまったもんじゃありません。

この市街化調整区域内での住宅の建て替えは俗に“既存宅地”と呼ばれていて、実はお家が建っていなくても土地が“宅地”になっていればOKという特徴があります。

調整区域の希望の光、“既存宅地“と”建替え”

土地にはその土地の利用目的を表す“地目”と言う項目があり、“宅地”、“田”、“雑種地”など色々な種類があります。市街化調整区域内では、その場所が調整区域と定められる以前から宅地として利用されていた土地のことを俗に“既存宅地”と呼ばれます。

既存宅地として認められるための条件は2つあります。ここに書くのは私が金沢市で実際に建築指導課の開発セクションに問い合わせた回答をかいつまんだものなので、他の市町村では多少条件が異なるかもしれません。

[①法施行前から地目が宅地だったこと]

都市計画法によってその土地が市街化調整区域となった以前から地目が宅地であったことを示す必要があります。(ちなみに金沢市は昭和45年6月30日に市街化区域と市街化調整区域の線引きがなされています)

これは土地の登記簿を見ればすぐに確認することができます。登記簿上には現在の地目だけでなく地目が変更された記録も残っており、その土地が宅地化された年月日が確認できます。これが線引き以前の日付であればOKです。(もしくは地目変更の記録が全くなければずっと昔から宅地として使われていたということなのでその場合もOKとなります)

[②各種記録によって宅地だと判断されること]

そして既存宅地の他にもうひとつ、建築が認められるケースがあります。それが既存建物の建替えです。

この時、現状に建物があるかどうかは関係ありません。仮に以前の住宅が解体されて更地になっていたとしても、地目が宅地のままで、解体されたのがおおむね10年以内なら建て替え扱いとなり、建築が認めれらます。

ちなみに建物を解体したのがいつなのか、明確な記録がないことも多いと思います。

でもまだ諦めるには早いです!

・建物の固定資産税が課税された記録がある

・直近数年の航空写真で建物が確認できる

などで、おおよそ10年以内前まで建物が存在していたことを示すことができれば再築可能となります。

[集落から単体で飛び出すぎていないか]

これは行政が判断するのですが「その1軒だけポツンと孤立して建っている(いた)ようなものは建替NG」という条件もあります。目安としてはその物件の500m圏内で50戸以上の住宅があるか一つの集落の中の1軒であると判断できるか、などの判断基準があるようですね。

まとめ

いかがでしたか?今日は土地探しのよくある落とし穴(?)の一つ、調整区域についてお話ししました。
[今日のまとめ]
・都市計画法は街づくりを計画的に行うための法律
・市街化調整区域は無秩序な市街化を防ぐために市街化を抑制する地域のこと
・市街化調整区域内では、基本的には建替えしかできない
・建替えの条件はもともと宅地として使われていたこと

 

ちなみに自分の住んでいる場所や狙っている土地が市街化調整区域なのかどうかは、ほとんどの場合インターネットで調べることができます。自治体のホームページには必ず「都市計画図」というものが公開されていますし、金沢市やではまちづくり支援情報システムという建築や不動産に関わる情報が掲載された専用のWEBシステムがあります。

それでは!