よくわからん不動産業界を解説してみる③
こんばんは(*^^*)
石川県でいちばん掃除好きな不動産会社、アシストの広報担当の前田です!
今回は不動産の中でも仲介業者のお仕事を説明した記事の第3回目になります。
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前回まで2回に分けて、仲介業者はなぜ必要なのかについて主に取引相手を見つけるという観点で説明しました。今回は相手が見つかった“その後のこと“について説明します。
目次
高すぎて不安すぎるのが不動産
例えば、今あなたは急な転勤で自分のお家を売りたいと思っているとします。
そしてラッキーにも不動産屋さんにお願いするまでもなくアナタのお家を買いたいというお客さんが現れました!でもそのお客さんはあなたに聞いてきます。
「どんな物件か説明していただけますか?」
え??まあ、どんな物件て言われても、見たまんまですよ!笑
という訳にもいきませんよね。逆の立場だったらどうでしょうか?
家族も増えたしそろそろマイホーム!と思ってお家を探していたところ、ちょうど最近知り合った人がお家を売ってくれると言うではありませんか!なんとなく自分たちが希望する条件に合ってるようだけどホントに大丈夫かな?この値段て安いの?高いの?どんなリスクがあるだろう?当然、色々と考えます。
そして、どんな物件なのか説明を求めると、相手の人はこう言いました。
「見たまんまのお家ですよ!XXXX万円です。欲しければ売ります」
えーそんな!一生に一度の高い買い物なのに!
説明してくれる人が必要
そうなのです。不動産はなんと言っても高額なのです。
Amazonで本をポチるのとはわけが違います。
不動産は世界に2つと同じものがない買い物ですからレビュー欄もありません。
販売業者が書いた商品説明文だけで数千万円も払うのは不安すぎますよね。
また売る方にしたって一体何と何を説明すれば相手に納得してもらえるのかがわかりません。それどころか契約内容だってどんな条件にすれば対等と言えるのか不安です。
実際、一度トラブルになると大きなお金が絡んでくるのも不動産の特徴ですね。
詳細でしかも正確な説明がなければとても取引はできません。
そこで登場するのが不動産業者が行う「重要事項説明」です。
実は仲介業者が必要になる一番のポイントはここなのです。
重要事項説明とは
重要事項説明とは不動産を売却しようとするときに行う、法律で定められた所定の項目を説明する行為のことを言います。
宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。情報提供 (株)不動産流通研究所「R.E.words」
要するに、不動産屋さんが正確な情報を調査して書面にまとめ、それを説明してくれる制度なのです。
一般に不動産を購入するという行為は必然的にハイリスクとなります。不動産業者ではない一般の方が購入するとなればなおさらです。よって宅地建物取引業では
①不動産業者が売主となり業者ではない人が買う場合
②不動産業者が売買を仲介する場合(購入者に対して行う)
の2つの場合に必ず重要事項説明が必要と定められているのです。
重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある。情報提供 (株)不動産流通研究所「R.E.words」
そして冒頭に書いた「どんな物件であるか」について、書面でしっかりと説明するというわけです。因みに土地建物を売買する場合に必要な説明は以下の通り(全部読む必要はありません)。
- 登記された権利の種類・内容、登記名義人
- 飲用水・電気・ガスなどの供給状況や排水設備(整備されていない場合は見通し、特別な負担の有無)
- 契約解除・損害賠償の予定や違約金の額
- 代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭の額、目的
- 宅地建物が、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域にあるときはその旨
- (未完成物件の場合は)工事完了時における形状および構造
- (既存建物の場合)建物状況調査の結果ならびに概要
- 石綿(アスベスト)の使用有無
- 耐震診断を受けている場合にはその結果
- 法令上の制限
- 私道負担(負担がない場合はその旨)
難しそうですね。実際、難しい話もたくさんあります。全てを説明するつもりはありませんが、ここでわかって欲しいのは、この項目たちは不動産を買うための判断に最低限必要な情報が網羅されていて、仲介業者はその情報の正しさに責任を持つ意味で印鑑を押すということです。
※ちなみに不動産の世界では重要事項説明のことを略して「重説(じゅうせつ)」と言います。
宅建士は重要事項説明のために存在する!
「宅建士」というのは不動産業を営むときに必要な資格として有名な資格ですが、皆さんは不動産屋さんのお仕事の中で、「宅建士」じゃないとやってはいけない業務は何かご存知でしょうか?
営業活動?
申込書をもらうこと?
契約書を取り交わすこと?
金銭の受渡し?
どれも、宅建士を持っていなくても出来ます。
実は宅建士というのは、上で述べた重要事項説明ができる資格なのです。
不動産の取引それ自体は誰でもできますが、重要事項説明書を作成してそれを説明することができるのは宅建士として認可を受けた人だけなのです。
ちなみに重説をするときは必ず宅建士証を見せて説明しなくてはいけないという決まりがあるので、賃貸アパートを借りたことのある方やお家を購入したことのある方は見たことがあると思います。
私の宅建士証です。合格したとき嬉しかったです!
“不安”は”お金”と直結する
実際問題上、重要事項説明がないとどこまで困るものなのでしょうか。不動産の取引にはとかくトラブルがつきものです。着目すべきポイントが多岐に渡りすぎるからかもしれません。
■ 100㎡あるはずの土地が90㎡しかなかった!
■ お隣の水道菅が敷地内を通過していた!
■ 契約したが住宅ローンが組めなかった!
■ 売買契約を解除したい!
■ 住宅設備が故障していた!
これらはほんの一部です。元々の金額規模が大きいので、大体どう転んでもお金のかかる事態になります。問題はこれらのトラブルが起きたときに、どう対処するか、誰が何割の責任(金銭)を負うかだと思います。
お客さんの安心を作るのが使命
これらに対処していくノウハウを持っていることが、不動産業者や重要事項説明の一つの価値なのだと思います。
そして不動産の取引というのは、何も重要事項説明や契約で終わりではありません。権利を移す“登記手続き”や“ローンの借り方”や取引後に控える”税金”のことなど、不動産取引には「わからない」がいっぱいです。そんな”不動産取引”という、とてつもなくお金のかかる、とてつもなく不安な人生の岐路に臨む人たちを、無事に目的地までナビゲートすることが、私達仲介業者の使命だと思っています。
アシストのブログはまだまだ不動産業界のことを書きます!
以上、不動産業界の解説シリーズ第3回までは、仲介業者という仕事が存在している意義と業務の内容についてイチバン基本的な部分を解説してみました。
ここに書いてあることはあくまでも基本であり原則です。3回だけでは書ききれなかった複雑な事情もたくさんありますし、世の中には未だに利益を追求して不誠実な仕事をする業者も存在します。
でも同時に不動産の世界は信頼の世界でもあります。ほとんどの不動産会社さんはお客さんの信頼に応えるために、真摯に仕事に取り組んでいます。
そうした不動産業界の頑張りをもっと世の中に知ってもらう意味でも、正しい知識を身に着けてほしいという意味でも、これからもこのブログでは業界の様々な事情を記事にしていきたいと思います!
私は不動産業界に入って3年ちょっとですが、私が経験したことを一生懸命伝え続けていきたいと思いますので応援していただけると嬉しいです!
それでは本日も一日お疲れさまでした٩(๑´0`๑)۶